吉岡 こんにちは。あさかぜ法律事務所弁護士の吉岡誠です。
菊間 こんにちは。岩国公証役場公証人の菊間徹です。

吉岡 菊間先生には,いつも遺言作成などで大変お世話になっております。
今日は,日刊いわくにの読者の方々をはじめ岩国や近隣の皆さんへ,公証人の先生のお仕事の内容を分かりやすくお話しいただければと思いお邪魔いたしました。どうぞ,よろしくお願いいたします。
菊間 よろしくお願いします。
吉岡 さて,早速ですが,公証人のお仕事というのはどのようなものなのでしょうか。
菊間 ごく簡単に言いますと,文書を作成するなどして一定の事項について公証人が証明することで,法律的な関係を明確し,当事者の間に法律的な争い事が起こらないように未然に防ぐという役割を担っています。
簡易な例で説明しますと,例えば,自分が亡くなったときにお世話になった人に財産を譲りたいというような場合に,公正証書遺言を作ります。特定の人に財産を譲りたいと遺言者がいわれたことを公証人が証明することにより遺言の内容を明確に証明するといった役割があります。
吉岡 一般の方がご自身で遺言を作成されても形式さえ整っていれば有効ですが,その文書が紛失してしまっては意味がないですし,そもそも形式が整っていない場合は,せっかく作ったものも後日残念ながら紛争が生じてしまった場合の決め手にならない。こういう事態に備えて,きちんと公証人の先生に文書を作ってもらっておけば,後日の紛争の際にも効力を発揮するし,またきちんとした文書を作成することで当事者間の約束を守る意識も高められることになりますね。
菊間 はい。公証人は,専門的な知識を備え,必要となる事項に応じて,確実な文書を作成できます。また,オリジナル文書である原本は,公証役場に保管されますから,なくなる心配はありません。
吉岡 それは安心ですね。でもちょっと意地悪な質問になりますが,公証役場が火事とか地震とかで壊滅してしまったら・・・。
菊間 そうですね。その心配は考えられることです。そこで,遺言に限定してではありますが,東日本大震災を教訓に,今後予想される大規模災害等の発生により遺言公正証書の原本等が滅失する事態に備えて,原本をデータ化して,これをその原本とは別に保管する,いわゆる原本の二重保存を実施することになりました。

吉岡 そうでしたか。これでより一層公正証書の信頼性が高まりますね。勇気をもって意地悪な質問をした甲斐がありました。
吉岡 遺言以外には,どのような場面に公証役場を利用する方が多いですか。
菊間 実際には遺言がとても多いのですが,遺言とともに,いわゆる終活の一環として,任意後見や尊厳死宣言などをセットでおつくりになられる方も最近は増えてきていると思います。
その他,離婚や土地建物の賃貸の場面なんかが比較的多いですね。
離婚に際しては,養育費や慰謝料をいくらにするか夫婦で話し合いがなされることもありますが,当事者間で書面を作っただけにしておくと,後々支払いが滞った場合に,裁判を起こす必要が出てきます。一方で,強制執行を受けても構いませんという内容を含めた公正証書を作っておくと,相手方が支払わなくなっても裁判を経ずに強制執行手続きに入ることができます。
吉岡 裁判だと,当事者間で「そんな文書なんて作っていない!偽造だ!」なんて争いになることもあり得ますからね。確実かつ迅速に執行するためには離婚の際も公正証書が力を発揮しますね。
菊間 また,建物の所有を目的とした土地の賃貸借については,例えば,土地を貸す方としても貸した後一切その土地を使えないというのでは子供や孫の代に困るだろうけど,自分は当面使わないというような場合がありますね。
このような場合,事業用定期借地権を設定すれば,一定期間内に土地の賃貸借契約が終了し更新はされないので,その期間満了後には土地は地主さんの元に戻ります。
吉岡 土地を有効に活用されたい方にはご検討いただくとよいかもしれませんね。
菊間 そうですね。この事業用定期借地権は公正証書でしか設定できないということもご注意いただければと思います。
吉岡 詳しいご説明ありがとうございます。いまご説明いただいた内容などで先生にご相談したい場合はどのようにしたらよいのでしょう。
菊間 まずはお電話でお問い合わせいただければと思います。公正証書の作成は,基本的にこちらの公証役場にて行いますが,遺言の作成などについては,公証人が出張してご自宅や病院で作成することもできます。ただ,出張先は山口県内に限られます。
吉岡 そうすると,大竹の方など広島県在住の方は先生にお願いするのは難しいんですかね。
菊間 申し訳ないですが,法律上の管轄から大竹市など広島県への出張業務はできないことになっています。ただ,大竹市在住の方など広島県在住の方でも岩国公証役場にお越しいただければ,うちの役場で公正証書を作成できますので大丈夫ですよ。
吉岡 ありがとうございます。
先生はこちらで公証人お一人ですからご苦労も多いかと思います。
菊間 そうですね。基本的に代わりがいないので,健康維持には気を付けております。
吉岡 休日はどのようにお過ごしですか。
菊間 そうですね。広島県三次市に実家がありまして,そちらに帰ったり,岩国や四国の島々,時には大分へも鯛を釣りに行ったり,ゴルフに行ったりして過ごしていますね。
吉岡 多彩なご趣味を持たれていろんなところに行かれていますね。とてもアクティブです!
最後に,日刊いわくにの読者の方々にメッセージをいただければと思います。
菊間 公証役場は堅苦しいところと思われがちですが,私はざっくばらんにお話しさせてもらっていますので,お気軽にお越しいただければと思います。
吉岡 菊間先生には,先生に作っていただく遺言の内容などで事細かに相談させていただいたり,公正証書を作りに公証役場に来られるお客さんにも優しく対応していただいたりと大変親身に接していただいており私たちも大変心強いです。
今日は,お時間いただきましてありがとうございました。
菊間 ありがとうございました。

岩国公証役場
岩国市今津町一丁目18番7号
0827―22―5116
営業時間 午前8時30分から午後5時まで 土日祝休み(遺言作成等については土日祝についても対応可。詳しくは岩国公証役場にお問い合わせください。)
(聞き手 あさかぜ法律事務所 代表弁護士 吉岡 誠)
(編集 あさかぜ法律事務所 事務局長 西田美穂)
次回 公認会計士・税理士 正鬼晋太郎先生
次々回 弁護士 出口裕理先生 の予定です。
※この記事は「日刊いわくに」紙面に掲載された内容を一部加筆修正のうえ掲載しております。